良い旅を

短歌

短歌作品(2012-2017)

2012年から2017年の間に発表した短歌作品*1を公開します。昨今の騒ぎで暇になった方や元々暇な方、暇でなくても興味のある方はお読みいただければ幸いです。 ちなみにこの期間の自選10首はこちらです。 hanasikotoba.hatenablog.com 右上の□に矢印のアイコン…

自選10首(~2017)

(展開によっては奪う)はつなつの花野にきみが濡れそぼち立つ朗読をかさねやがては天国の話し言葉に到るのだろうおそなつが非在のきみを在らしめて晴れるって言ってくれたのみどの坂沿いののぼりに一つずつふれる 祭りのあとの寺へとすすむ落ち合えばそこが…

笠木拓『はるかカーテンコールまで』十首選

ショッピングモールはきっと箱舟、とささやきあって屋上へ出る この歌の構成要素の重要度に順位をつけるとしたら、①ショッピングモール=箱舟という発想、②「屋上へ出る」という着地点だと思うけれど、③にあたる「ささやきあって」というディテールこそがイ…

『Q短歌会機関紙』第二号

第二十九回文学フリマ東京で購入。機関紙なのか機関誌なのか。表紙や奥付は「紙」だけれど、巻頭言は「誌」になっている。辞書的には「誌」と呼ぶべき形態だと思うけれども。 会員の連作・一首評に加え、ゲストの岡野大嗣・初谷むいの作品とダブルインタビュ…

『ぬばたま』第四号

第二十九回文学フリマ東京で入手。1996年生まれによる短歌同人誌。*1 連作11本*2(ゲスト一人を含む)と一首評4本に加え、平岡直子による前号評が掲載されている。 エスカレーターから降り立つひとりひとりをよく見る 正解はひとつだけ 正しいことを言う人に…

岐阜亮司「短歌は青松輝を飽きさせてはならない」をめぐって

note.mu note.mu 「ブログに還れ」を提唱する*1私は、他者が自分の語りたいものについてまとまったかたちで語ってほしいと思っているので、こういう記事が読めると嬉しくなる。 本来はまず元の評論についてちゃんと言及すべきなのだろうけれど、ここでは元評…

定型における交換可能/不可能性について ――五島諭『緑の祠』を中心に――

※『羽根と根』4号初出評論を元に、誤字脱字等を訂正した 1 短歌に興味を持って間もない人と話していると、おすすめの短歌入門書をよく聞かれる。また大型だけれどもそれほど短歌に力を入れていない書店の短歌コーナーに行くと、そのスペースの多くは入門書…

歌人のルーツの話

現代において短歌という表現形式はかなりマイナーだけれども、それゆえに生じているちょっと面白い特徴は、短歌はそれが「第一表現形式」である作者の比率が極めて低い形式であることではないだろうか。「第一表現形式」というのは「第一言語」という概念を…

歴史について

※『早稲田短歌』46号初出評論を元に、一部加筆・修正した A それで女の歌人には、女は女でやっとけみたいなところがあるじゃないですか。一方、正史としての短歌史はこう続いています、となる。やっぱり男の人は基本的にそういう流れのなかに女の人を入れな…

『同志社短歌』三号

大阪文フリで購入。『同志社短歌』を入手するのははじめて。 学生短歌会の機関誌名に大学の正式名称が使われているのは珍しい気がする。他は『早稲田短歌』くらい? だいたい『◯大短歌』だし。 裏表紙に大学の徽章が入っているあたりに短歌サークルには珍し…

手を広げ人を迎えた思い出のグラドゥス・アド・パルナッスム博士(服部真里子)

手を広げ人を迎えた思い出のグラドゥス・アド・パルナッスム博士服部真里子『行け広野へと』(2014 本阿弥書店) グラドゥス・アド・パルナッスム博士ってどんなひとだろう。調べてみたけれどもそういう名前の人間がいたわけではなく、ピアノ曲のタイトルだ…