(展開によっては奪う)はつなつの花野にきみが濡れそぼち立つ
朗読をかさねやがては天国の話し言葉に到るのだろう
おそなつが非在のきみを在らしめて晴れるって言ってくれたのみどの
坂沿いののぼりに一つずつふれる 祭りのあとの寺へとすすむ
落ち合えばそこが
そこで打つ手なら電車で決めてきてだれに絆されても変わらない
関係を名づければもうぼくたちの手からこぼれてゆく鳳仙花
香港の十分おきに雨が降る映画のなかの雨の香港
1.「失うまえに」『早稲田短歌』43号
2.「往信」『羽根と根』創刊号
3.「走る」『羽根と根』 2号
4-5.「湖辺で」『羽根と根』3号
6.「橋と水/ペテルブルク」『羽根と根』4号
7.「到達」『羽根と根』5号
8.「パーリデイ」『一月一日』vol.4
9.「探偵と天使」『羽根と根』6号
10.「早春賦」『tanqua franca』