良い旅を

平成アイマス楽曲大賞(1)ユニット曲部門

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 企画に乗じて語りたいだけ感もありますが。7月末まで投票可能なのでみなさんもぜひ。
 曲の把握度合いは以下の通り。


アイマス」(AS+876,961関連)→ぷちます!と一部カバー(特にMA2以前と一番くじ)以外
「デレマス」・「ミリマス」→おそらく全曲
「SideM」・「シャニマス」→多少
ゼノグラシア」・「アイマスKR」→(ほぼ)知らない*1
「その他」→前三者のラジオ関係のみ


 今回は「アイマス」「デレマス」「ミリマス」「その他」の範囲から選ぶことにしました。SideM・シャニマスは楽曲以外のコンテンツにほぼ触れていないため、思い入れ的にも合計たった(!)50曲に入れるのは難しかったので。『Learning Message』『羽ばたきのMy Sou』『フェイバリットに踊らせて』『アルストロメリア』あたりが好きです。
 なおコメントは投票用のものとは異なります。無駄に長いので分かるかと思いますが。

投票リスト

5pt(1曲)
C230 クレイジークレイジー


3pt(3曲)
A210 CRIMSON LOVERS
D103 SUN♡FLOWER
E602 Flooding


2pt(6曲)
A121 MUSIC♪
E006 Marionetteは眠らない
E410 brave HARMONY
E503 FairyTaleじゃいられない
E526 I did+I will
E601 アイル


1pt(15曲)
A001 THE IDOLM@STER
A128 99 Nights
C009 EVERMORE
C102 Nation Blue
C222 Kawaii make MY day!
C305 秋風に手を振って
C307 さよならアンドロメダ
C503 Stage bye Stage
D012 Heart Voice
D015 Trancing Pulse
E010 瞳の中のシリウス
E212 深層マーメイド
E416 Raise the FLAG
E519 ハーモニクス
E603 君との明日を願うから

コメント

曲名の右は(作詞者/作曲者/編曲者※作曲者と別の場合のみ)。所属等は省略しています。

5pt曲

クレイジークレイジー(MCTC/Taku Inoue)


 お馴染みイノタク曲の中でも一番好き。好きなポイントは山ほどあるけれど、結局は「ラストのI love you 最初に言うよ」に尽きる気がする。
 詳しくは以下参照。他のイノタク(というかMCTC)曲にも触れています。
hanasikotoba.hatenablog.com

3pt曲

CRIMSON LOVERS(只野菜摘広川恵一


 ドラムにベースにギターにその他もろもろの音(掃除機まで使っているらしい)にもちろんボーカル、とすべてが超かっこいい。これだけ尖った曲なのにずっと聴いていてもまったく疲れないのも不思議。インストが縦横無尽に暴れまくっているのに、サビだけは(パワーはすごいけれど)いっそ単調すぎるほどになってボーカルの力にすべてを託しているところも素敵。
 「進化した私を気にいっている?」「進化した私を気にいっている」「進化した私を気にいってる?」(ここが一番好き)→「進化する私を気にいっている」という四段活用もエモいし、「リスク承知で 大好き 魔法をおくる」という荒っぽい歌詞も曲にはまっている。



SUN♡FLOWER(坂井竜二/山崎真吾)


 相手をひまわりに喩える→ならば私は太陽であるという発想がまずすごいし、実際はあなたと私はひまわりでも太陽でもないのに、その二つが「ベスト オブ ザ カップル」であると言い放つことで自分たちの関係を称揚するに至ってはもはや傲慢にすら思えるほどの圧倒的なつよさがある。けれどもそれが「暗い顔 なんとかしてあげたい」なんて祈りから来ているものであることを考えると見方も変わるし、「笑った顔が大好きだから/輝き続けていたいの」という結実のかたちには泣いてしまう。
 明るいけれどどこか切ない、みたいな曲調、『Orange Sapphire 』なんかもそうだけれどどういうメカニズムでそうなっているんだろう。ソロも個性が出まくってて全部好き。



Flooding(真崎エリカ矢鴇つかさ


 ゲッサン版ミリオンライブ!のオタクなので(この後何度も出てくるフレーズ)。
 クレシェンドブルーというユニットの曲としてすべてが完璧な歌詞。「きっと出逢いは革命」で、それが「堰を切って/氾濫して今を運命に変えてく」という構図が美しい。出逢いそのものは運命なんかじゃなく、革命といえどもあくまで契機でしかなくて、でもそれがぶつかり合うことで運命に変わる。
 ソロバージョンもよく聴くけれど、純粋に曲としては考えるとユニット版に比べてやや単調な感じは否めず*2、しかしそれが逆説的にこの曲はメンバーの多様な個性を前提とした「5人の曲」として書かれている、ということを感じさせてくれる。とはいっても他の3人のソロも早く聴きたいけれど。星梨花のソロとか聴いたらまた泣いてしまいそう。

2pt曲

MUSIC♪(yura/渡辺量)
 

 ポップだけれど音は厚い、人間の話のはずなのにどこか神秘的、軽快だけれども明るいだけじゃない。コーラスもよいし、フルートが目立っているのも個人的な加点ポイント。
 M@STERPIECE初回限定盤のBlu-ray Audioの音源がかっこいい。劇場版のあのシーンでこの曲を使った発想は悪魔的だと思う(とても良かったけれど)。



Marionetteは眠らない(こだまさおり高田暁


 格好良く怪しく挑発的。さっきまでの価値観全部変えちゃうくらい夢中になれることあるって信じてみたい。4人中3人AnなのでミリシタでAn属性になっているのはまあ当然なのだけれど、天使とは……となる曲。
 星井美希学は先行研究が無限にありそうなので迂闊に言及できないけれど、それにしてもラスサビ頭のソロパートは知っている範囲で美希史上格好良さの極点だと思う。ハモリもみんな強くて誰が歌っているのか分かど、その中でもやたら目立っている麗花さんも聴きどころ。



brave HARMONY(結城アイラ山口朗彦


 属性曲、大人数のユニット曲の類ではアイマスで一番格好良さに振り切っていると思う。イントロからテンションMAXになるのに、2番の入りで更にもう一段階上げられる。
 「ひとつになろう/ひとつになろう」「世界を 抱きしめよう」なんて歌詞が当然のように格好良く聴こえるのはよくよく考えるとすごい。



FairyTaleじゃいられない(結城アイラ堀江晶太


 「青く燃えている」系の曲は、敢然と外に火を放つタイプ*3と身の内で火を保ち続けるタイプ*4に大別されると思うのだけれど、これは両者のハイブリッドだと思う。身の内の火が外に溢れ出してしまったとでも言うべきか。余裕のなさ、弱さも抱えているところが好き。
 激情的、ちょっと思いつめすぎなほどに張りつめた歌詞は、アイドル個々で見ると必ずしもそのパーソナリティにしっくり来るというわけではないのだけれど、みんなで歌うとちゃんと決まっていて、単なるゲームシステム上の属性を超えて、これがユニット「フェアリースターズ」なんだ! という説得力を感じる。



I did+I will(安藤紗々/gen、伊藤“三代”タカシ/gen)
 
 クセになるサウンド。重いけれどもどこか空虚な低音と、高音寄りのボーカルの乖離が絶妙。このテンポと空気感でブチ上がる曲もなかなかない。
 音楽のジャンル分けはまったく分からないのだけれど、これはヴェイパーウェイヴと呼んでよいのだろうか。コミュやドラマCDと合わせるといろいろと思うところがあるので、いずれなにか書いてみたい気はする。



アイル(きみコ/佐々木淳/nano.RIPE


 ゲッサンのオタクなので(二度目)。伊吹翼の、ジュリアの、真壁瑞希の、そして漫画のストーリーを重ねればもちろんあまりにもエモいが、単体で見ても普遍性があって、かつめちゃくちゃ完成度の高い歌詞だと思う。
 キャッチーなフレーズが山のようにあって語らなければならないことが海のようにあるけれど、一つだけ挙げるなら「行く手阻む山の中をくり抜いて向こう側へ/数秒間だけ見えた海の水平線キラリと光った」。なんだか東海道本線の小田原―熱海間みたいだけれど、エモーショナルな歌詞の中にこういった喚起力の高い風景描写が入ることで曲全体が引き締まっているし、それだけで終わらず「山」「海」「トンネル」というモチーフが全体を通して活用されているのもお見事。

1pt曲

THE IDOLM@STER(中村恵/佐々木宏人


 たぶん同世代にありがちなように私のアイドルマスターとのファーストコンタクトは初期のニコニコ動画で、そこで最初に気に入ったのがこの曲だった。電子的な、あまり聞きなれなかったジャンルのサウンドは心地よくて、その反面歌詞に対してはアンビバレントな思いを抱いたことを覚えている。自分が「男」であることがあまり好きではなかった、好きで「男」でいるわけじゃない、と思っていた身としては「男では耐えられない痛みでも/女なら耐えられます 強いから」に象徴されるような主題は率直に言ってつらいもので、一方で「女性」が主体的に、社会規範と対立してでも自分のやりたいようにやっていくことを肯定するスタンス*5は好ましくも感じられたし、自分もまた規範に抑圧されていく部類の人間だろうと考えていた身としてはどこか励まされる気もした。
 それから十数年が過ぎるうちにそれなりにフェミニズムを学んだ目でこの歌詞を見ると、突っ込みたい細部はまあいろいろあるけれど、その一方で後者のスタンスはアイマスの私の好きな側面の根底になっている気もする。今だと「女性」のこの程度の主体的な振舞いというのはオタクカルチャーを背景にした作品でもそれなりに許容(という言い方も嫌だが)されていそうだけれど、当時としては珍しかったのでは。



99 Nights(MCTC/Taku Inoue)


 イノタク。ユニット曲部門に入っているがソロでしか聴いたことがない。
 美希のソロが他の曲にあまりない歌い方で良い。特に「ねえ聞いて あのね あのね/君が好きよ」は必聴。



EVERMORE(森由里子田中秀和滝澤俊輔


 豪華な作詞作曲陣に相応しい名曲の風格。まあこの曲はCメロですよね。
 「TVで 舞台で 世界で」も妙に好き。舞台という語が好きなだけかもしれない。



Nation Blue(遠山明孝/同)

 シンデレラにおけるクール属性という概念を象徴する曲、という私見を持っている。『オルゴールの小箱』や『咲いてJewel』はCoでもみなが歌えるとは限らないけれど、これはみんな歌える、むしろこれを歌えるからCoなのだ、というか。歌詞もいい。
 


Kawaii make MY day!(八城雄太/石濱翔

 「会いたいからオシャレをした」ではなく「オシャレをしたから会いたいな」 という歌詞に共感……できるかと言えば個人的にはそうでもない(私は「会うために仕方なく身なりを整える」なので……)とはいえ、正確な表現だなあと思うし、こういう歌詞を発信して、それが受け手に評価されるコンテンツであってほしい気持ちはある。「別にモテたいわけじゃないんです/ただまっすぐ笑ってたいだけなんです」も含めて。
 完全に余談だけれど、昨年北海道開拓の村に行った際、旧恵迪寮(北海道大学の寮)での過去の寮歌の展示に「八城雄太君作曲」の文字を見つけてびっくりした。同一人物?



秋風に手を振って(森由里子/Yoshi/若林タカツグ


 風シリーズはどれも好きだけれど1曲選ぶならこれかな。ラスサビの有香ソロパートがエモすぎる。



さよならアンドロメダ(MCTC/Taku Inoue)


 どうせみんな入れるだろうし(あと自制しないとイノタクだらけになるので)外そうかと思ったけれど、聴き直したらまあ無理でした。
 ソロはそれぞれまるで別の曲のように聴こえて、この3人を組ませた人は偉いなと思う。いつかオリメンで聴きたい。



Heart Voice(磯谷佳江/小野貴光/玉木千尋


 恋の歌に見せかけて、もっと普遍的な勇気の話をする、みたいなやり方が好き。



Trancing Pulse(AJURIKA/上松範康藤永龍太郎


 加蓮PとしてはTFを選ぶべきなのかもしれないけれど、(凛の見た目はともかく)決してめちゃくちゃクールや非凡なわけでもない、割と普通の若者の3人がこういった曲でパフォ―マーとして魅せる、というところに惹かれる。
 TFはむしろ普通の若者であることをさらけ出すもので、それはそれで良いのだけれど。



Stage bye Stage(ミズノゲンキ睦月周平


 いや、6thで4回も聴く前から好きでしたよ? まあ見方が変わったことは否めませんが……。
 実際ライブの最後にやる曲としてこれ以上のものが出ることは果たしてあるのか、という気はする。



瞳の中のシリウスこだまさおり/野井洋児)


 この曲もゲッサンでの使われ方が印象的だった。未来に歌ってほしい……。
 サビの透明感ときたら! ちょっと特殊な曲の構成(Cメロが一番の後にある?)もいい。幻の志保ソロが存在するとの噂を探るべく我々はインターネットの奥地へと向かったが値段を見て撤退した。



深層マーメイド(唐沢美帆睦月周平


 格好良い・切実系のデュオという点で、どうしても『アライブファクター』(どちらを入れるか散々迷った)と比較したくなる。外へ向けて自分の存在を誇示するあちらと、内なる海へと溺れていくこちら。歌唱者がほとんど剥き出しなあちらと、あくまで歌の登場人物に成り代わることを基盤としているこちら、という対比もできるかもしれない。
 響・翼の引き出しの多さを感じる曲。生来受け身人間なのでこういう歌詞に共感してしまう。



Raise the FLAG(松井洋平堀江晶太


 普段のイメージ・声質が個性的で、必ずしも格好良い系とは限らない3人が、それぞれそのままの姿で歌うめちゃくちゃ格好良い曲。



ハーモニクス(坂井季乃/高橋諒


 『餞の鳥』も良いけれど、本格的に入ミリオンする切っ掛けになったこちらで。バンドサウンドがジュリア、ピアノが静香要素として、どこから来たんだというサックスがセクシー。



君との明日を願うから(真崎エリカ原田篤酒井拓也


 ゲッ(四度目)。泣く。Aメロ直前のマリンバ? が好き。


振り返り

 3pt以上の曲は最初から不動、2pt以下は大量の候補から無理やり21曲に絞り込む→なんとなくポイントを分けた、という感じ。2ptがミリオンだらけになった(というか半分は6th福岡だ……)のは最近ミリオンの波が来ているからで、時期によってはまた変わってきそう。
 正直絞り込みようがないので、勝手に何曲かのグループを作ってその中から代表して1曲選ぶ、というようなことをやりがちだった。イノタク曲、『アライブファクター』『深層マーメイド』『Emergence Vibe』(「LTDの信号機が絡んでいる格好良い曲」)、「風シリーズ」、『TP』と『TF』、『Flooding』を入れたし『Shooting Stars』はいいか……など。
 落とした曲の話をしてもキリがないけれど、『光跡』は本当に入れたかった。最後のところで落とした理由はただただ私がアイステを一度も聴いたことがないことに尽きますが、そういう人間が聴いてもめちゃくちゃ良い曲なので、ブックレットをどう見ても京急蒲田駅で撮っているベストアルバムで聴いてください。

*1:微熱S.O.S!!』だけはなんとなく知っているけれど、投票するかというと……。ゼノグラシア、なぜか最終回だけ観た記憶があります

*2:現状世に出ているソロが静香・志保という割と正統派タイプだからというのはあると思うが

*3:『brave HARMONY』、『Flooding』、『咲いてJewel』、『Trinity Field』etc.

*4:『Shooting Stars』、『Nation Blue』、『Trancing Pulse』etc.

*5:当時はここまで言語化できていなかったと思うが、少なくともこの社会では「男」のほうが「女」よりも強いものだとされていることくらいはうっすらと分かっていた