良い旅を

めるかり、と喚んだでしょ? だから来てあげた/2019年8月以前の川柳

この薬が効けば鹿鳴館になる


負けたって思ったさきの峠道


ジョニデとはジョニーデップのことだろう


生ハムメロン販売員と過ごした夏


かわいくて才能のある密造酒


めるかり、と喚んだでしょ? だから来てあげた


負け方が悪いね芋煮会しよう


急行に乗った時点であきらめた


衛生面に定評のある牛丼屋


天皇もジョニーデップも食べた味


アカウントいくつ持ってるんだそこに座れ


人生を最悪にする焼き豆腐


長いトンネルを抜けると皇居だった


レイトショーまでに終わらせてあげるよ


逃げ水の逃げる気持ちもわかるけど



 作品をつくることよりもつくった作品を評価することのほうがはるかに難しい、というのは過去に短歌で経験したことで、そのときは最低限自分なりの評価基準が定まるまでに二年近くかかったから、川柳を真面目にやってみようと思い立って一週間ではそんなものはあるはずもない。評価基準が定まる前に発表した短歌のほとんどはいまの私にとっては見るに堪えないものだから、この川柳たちもおそらくはそうなるだろう。しかし短歌とははっきり別物としてやる以上、発表/創作のスタイルも短歌とは別にしたいので、当面はこうやって作った句を月ごとに公開していく方針でやってみたい。