5pt曲
サイキック!ぱーりーないと☆(坂井竜二/山崎真吾)
愉快で変で乱雑でめちゃくちゃなのにあまりにもエモいし最高に泣ける曲で、けれども歌っている堀裕子さん本人はなぜこれが泣ける曲なのか分かっていなさそうで、でもそういう人が歌うからこそ良いのだと思う。
「わたしの願いは世界中驚きと愛で満たしたい」という、ややギャップのあるものが並列されているフレーズが本当に素晴らしい。「世界を愛で満たす」だけだとありがちな、誰にでも言えそうなフレーズだけれども、そこに「驚き」という世界を満たすものとしては意外な、独創的な言葉が加わることで、ああこの人は「愛」のほうも自分で考えて本気で言っているんだ、ということが分かってしまう。「世界中を驚きで満たす」は「世界を驚かせる」ともなにか決定的に違うし、そこに愛まで加わるとなんかもうすごい。
たとえば「驚き」と母音が同じでも、「世界中喜びと愛で満たしたい」ならぜんぜん感動しなかったと思う。それは「その人だけの言葉」ではないから。ありがちなフレーズをずらすことで「その人だけの言葉」と思わせる……というのは詩作においてはそれこそありがちなテクニックでもあるけれど、ここまで完璧にハマっているのはなかなか見たことがない。
ラスサビはアイマス世界におけるアイドル堀裕子のライブを幻視し、自分もその満場を埋める観客の一人であるように思ってしまう。サイキックじゃんぷしながらこの時間が永遠に終わらないように願っている何万人かの一人に。
ナゴヤドームは極論これとFrozen Tearsを聴きに行ったようなもので、ラスサビは涙声でコールしながらペンラ振ってた。一度で良いからサイキックじゃんぷしまくれるライブに行きたい……。
Frozen Tears(磯谷佳江/小野貴光/玉木千尋)
担当枠。「アイドルの曲」でも「アイドル北条加蓮の曲」でもなく「北条加蓮の曲」という感じのこの手の曲(他には『絵本』とか)にどう向き合ってよいのかというのは正直戸惑うところもあるのだけれど、ナゴドで聴きながら号泣してたし、まあそれが答えでよいかな、と。
銀河図書館(烏屋茶房/同)
あ、この展開People In The Boxで聴いたやつだ! いまいち距離感がつかめなかった鷺沢文香というアイドルのファンになれた曲。
「めでたしめでたし」で終わらないところがなにより良い。インストも最高。
Oli Oli DISCO(真崎エリカ/ Shinnosuke)
キラキラしたイントロ→ちょっと停滞するようなAメロ→動き出すBメロ→解放されるサビ、という流れと、それに沿うにように移り変わっていく歌詞が好き。
ミリオンはまだそこまで思い入れないし泣くことはないだろうな、と思っていたけれども、6th福岡1日目で合唱しながら少し涙ぐんでしまった。
2pt曲
細氷(貝田由里子/椎名豪)
ずーっと高音のサビがすごい。「もがきながら歩きだすの」とはこのサビを歌うことの暗喩か? と疑うくらい。いや歌はいたって安定しているけれど。
Kosmos, Cosmos(遠藤フビト/内田哲也)
夜中に宇宙番組を観ていると、あるいは*1旅行先やフェリーの上から一人で星空を眺めていると、自分の卑小さ、無力さを感じてこわくてたまらなくなって、ひとに隣にいてほしくなる。一方で私は人類が生存するためには宇宙に進出するしかないと思っているし、叶うならば自分も宇宙に行けたらと望んでいる。
相反するようでも表裏一体のようでもある私の宇宙への感情が両方とも入っている曲。「少し怖いけどキミを信じてる/きっとこのままずっといけるよ」、なんてロマンチックなんだろう。
ゼロ年代から常にそのとき使っている音楽プレイヤーに入っていたので、実は聴いている期間だとアイマス曲で一番長いかもしれない。*2アレンジはMA版のほうが浮遊感があって好きだけれど、MA3版の終盤の展開も捨てがたい。
Mythmaker(LindaAI-CUE/同)
超絶格好良い。イントロからヤバい。6th福岡初日(LV)の開始0.5秒くらいで叫んでしまったことは本当に反省しています。6thに関してはこの記事が面白かったです。
kokukoku.hatenablog.com
そもそもMythmakerという単語が格好良い。イノタクのリミックス*3も当然のように良いけれど、この曲に限ってはやっぱり原曲が強すぎる。
Twilight Sky(渡辺量/同)
Cメロからラスサビにかけて、ゆっくりと夜が明けてゆくような音と、そこに乗る歌詞が最高。好きなポイントは語りつくせないけれど、「明けゆく東の空で/目覚める夢の続きが/たとえ違ったとしても 君の歌聞かせて」が一番かな。渡辺量さんは『Dazzling World』が初めての作詞だそうだし、その後もあまり多くの歌詞を書いているわけではないけれど、この平易な言葉で印象に残る歌詞を書く技術をどのように身につけたのか気になっている。
「巧く歌うんじゃなくて /心を込めて歌うよ」という歌詞は李衣菜というキャラクターのイメージを塗り替えてしまったんじゃないかという気がする。*4普段いくらトンチキことを言っていてもこれを聴いてしまったらもうただのネタキャラ扱いはできない……。
PROUST EFFECT(北谷光浩/同)
プログレ? ポストロック? よく分からないけれど変態変拍子は最高。2番後の間奏が一番訳分からなくて素晴らしい。6thで無理やりペンラ振ろうとしたら指揮者みたいな動きになってしまった。ちょっとSchool Food Punishmentっぽい気もする。そういえばSFPを知ったのもアイマスのMADだったな。
完全に宣伝ですが、下の雑誌にこの曲を無限に聴きながら書いた(+一応元ネタ? のプルースト『失われた時を求めて』*5)短歌連作を寄稿したのでよかったら買ってください。
プリンセス・アラモード(松井洋平/松井洋平・AstroNoteS/AstroNoteS)
この曲そのものがなんでもありのわんだーらんど、というような多彩な展開に華やかな音。歌い方も好き。
「夢の世界は終わったりしないのです」「あなたといるといつでもわんだーらんど」とかこういうのに弱いんだって! 自分が何をしでかしているか分かっている『サイキック!ぱーりーないと☆』、という感も少しする。ライブで聴いたら泣くだろうな。
1pt曲
追憶のサンドグラス(ZAQ/高田暁)
美希ってここまでソウルフルな歌い方をするの? という驚き。近いのは『マリオネットの恋』なのだろうけれど、それよりも更に剥き出しな感じ。しかし超かっこいい。イントロの音が増えるところ好き。
黎明スターライン(LindaAI-CUE/増渕裕二)
宇宙の浮遊感、というよりは宇宙への推進力を感じる。キーボードとドラム好き。
マイ・スイート・ハネムーン’(滝澤俊輔/同)
「世界中がエキストラ」というパンチラインに尽きる。滝澤俊輔は作詞もすごかった。
PANDEMIC ALONE(ミズノゲンキ/睦月周平)
めっちゃドコドコしてて最高。
間奏~Cメロラスサビ入りの流れがたまらない。「星輝子の歌うこの調子の曲の歌詞」を「どうだい ともにGo to hell/楽しもうぜ」に帰着させたミズノゲンキはさすが。
Hotel Moonside(MCTC/Taku Inoue)
イノタク枠であり担当枠。最近は烏屋茶房リミックス*6ばかり聴いている気がするけれど、原曲も当然名曲です。
やっぱり歌詞が好き。「月の丘の裏側で/誰も来やしないから」とか「流れ星を捕まえて この足に縛ってよ」とか。宇宙っぽい曲で「環状線」なんて語を出して銀河鉄道っぽいイメージを持たせたところで、「天秤座行きのバスでキス」というのもちょっとした裏切りのようでお洒落。
秘密のトワレ(ササキトモコ/同)
『PROUST EFFECT』を選んだしこちらはいいかな……と思ったが流石にそうはいかなかった。あまり選べてないけれどササキトモコ大好きです。
Radio Happy(MCTC/Taku Inoue)
「大好きな君に届けたいよ!」
恋色エナジー(ミズノゲンキ/睦月周平)
中野有香の「エナジー」という要素にフォーカスして王道アイドルソングに仕立てた手腕に拍手。
Last Kiss(渡部紫緒/坂部剛)
初めて聴いた日はそのまま20回くらいは聴いたかもしれない(Last Kissで検索しようとしたら「鈴木みのり」がトップにサジェストされて笑った)。
Cメロはとってもきれいだし、それ以降の流れはもう完璧。
Catch my dream(Mine/中土智博)
ゲッサンのオタクなので(通算六度目)。6th福岡2日目で号泣した。
Bメロが一番の好きポイント。期待感が高まっていくようなメロディーに、「この声 この歌で 何ができるのだろう」が最上静香……! という感じ。
ロケットスター☆(真崎エリカ/本多友紀)
疾走感と無敵感。めっちゃ楽しい、聴いているだけで身体がうずうずしてくる。細氷とはまた違う高音のやばさ。
翼がサッカー選手だったらスピードにまかせてぶち抜く戦術兵器系ドリブラーだと思っているけれど、たぶんこの曲の影響が大。左サイドでボールを受けたらそのまま大外をぶち抜いてからのクロスでアシストを量産する*7。
Only One Second(松井洋平/石谷桂亮/遠藤直弥・石谷桂亮)
アツい。この歌詞に説得力を持たせる歌唱に兜を脱ぎました。
私は最初に聴いた紗代子のソロがこれだったけれど、以前から追っていた人には感慨深かったのだろうなと思う。
CAT CROSSING(中村彼方/中野ゆう/EFFY)
激しいサウンドに叩きつけるような、挑戦するような歌い方、そしてそこに乗るのが弱さを自覚しながらそれでも強くあろうとする歌詞、ときたら好きにならずにいられない。その危ういバランスをとるのにピアノが効いている。
この曲調でラスサビ2回繰り返すのはずるいでしょう……。しかも「つま先の野生は」で言いさすだなんて。
To...(KOH/同)
『水中キャンディ』はちょっと毛色が違うとして、『dear…』と『To…』という2つのラブソングはどちらがより好きかが割とその人の欲望のかたちを反映する気がする。それはサウンド面を含めて、結局は「love song 感じていたいの/ずっと見つめていたいの」と「この恋が本物と感じて欲しいから/その一瞬は嘘ついていてもいいから」の差なのかもしれない。私は永遠よりも一瞬を永遠と誤認する方が好きなので後者派です。あと間奏がキラキラしててエモい。
FIND YOUR WIND!(松井洋平/中土智博)
飛べそうなくらいの解放感と爽快さ。
「走り出したときに感じる風を自由っていうんだよ!」はもちろんとして、「1秒先のことなんて知らないよって言ってたのに/どうして君のその瞳、明日みてるの?」が刺さる。ちょっと耳が痛い。